今回はサイナスリフトと呼ばれる治療技術のご紹介です
上顎の大臼歯部は上顎洞と呼ばれるお鼻の横の空洞があり、インプラント治療をする際に骨の量が不足しやすい部位です。
また、上顎は骨の質も下顎に比べ柔らかいため、インプラントの初期固定を得るためにテクニックが必要な場所でもあります。
今回の患者様は、他院ではインプラントをすることが無理だと断られ、義歯を使用しておられた患者様です。
義歯では食事が美味しくないと、当院を選んでいただきインプラント治療をすることとなりました。
まずは初診時のパノラマレントゲンです
上顎の大臼歯部(奥歯)が以前に抜歯されており、義歯を使用されていました。
長く義歯を使用していると、骨が吸収してくることが多く、また西洋人に比べ日本人の特徴として元々上顎の骨の厚みも薄いことから、インプラントを埋入するに十分な骨量がない場合があります。
分かりやすく図示しますと
水色のラインが上顎の骨です
赤で示したように、インプラントを埋入したい位置の骨の厚みが十分ではありません。
上顎では10㎜以上のインプラントを埋入したいところですが、計画した5ヶ所のうち4ヶ所で骨量不足となりました。
このような場合に用いるテクニックがサイナスリフトです。
サイナスリフトとは
上顎臼歯部の骨量不足に対し、上顎骨上部の上顎洞粘膜を持ち上げてスペースを作り、人工骨などの骨補填材などを入れることで骨を作る技術です。
骨量不足のままインプラントを埋入すると、上顎洞粘膜を突き破り、上顎洞の感染や、上顎洞へのインプラントの迷入などインプラントの失敗につながります。
それを解決する方法の一つがサイナスリフトです。
術後のパノラマレントゲンです
上顎骨の上に骨ができているのがお分かり頂けますでしょうか
分かりやすく色をつけます
この緑で示したところがサイナスリフトで作った骨です。
埋入したインプラントが上顎洞に突き抜けることなく、全て骨に囲われているのが分かります。
サイナスリフトに用いた人工骨は、長い時間をかけて患者様ご自身の骨へと置き換わっていき、インプラントと強固に結合してくれます。
通常より時間はかかりますが、骨ができインプラントが骨に結合した後に、ジルコニアを用いてインプラントにつなぐ歯を作製していきます。
この患者様は、現在インプラントの結合待ちの期間で、年明けから歯を作製予定です。
インプラントの治療はどこでやっても同じではありません。
難症例にも対応できるのは、十分な経験とトレーニング、日々の研鑽を積んだドクターのみです。
当院では、こうした他院で断られてしまった難症例にも対応いたしております。
お困りの方は一度ご相談にいらして下さい。
相談や治療は勇気のいることです。その決断に敬意を表するとともに、当院を選んでいただいた患者様に感謝いたします。
インプラントをしたいと思われた方の『噛める喜び』を実現するために、誠心誠意、全力で治療にあたられていただいておリます。
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