インプラント周囲炎のリカバリー治療

こんにちは

小林デンタルクリニックの院長 小林陽介です。

 

今回は、他院で行ったインプラントがインプラント周囲炎になり、当院で再治療を行った症例を紹介します。

 

まずは、初診時のレントゲン写真をご覧ください。

 

右下と左下にインプラントが埋入されていますが、向かって左下のインプラントの周囲が黒っぽく写っているのが分かるでしょうか?

拡大して見てみましょう。

さらに、分かりやすく示してみました。

本来であれば、水色のラインまで骨がないといけませんが、ピンクのラインまで減ってしまっています。

これは、インプラントがインプラント周囲炎になってしまい、炎症により周囲の骨が溶かされてしまっています。こうなってくると、インプラントに動揺が起きてきて、周囲の歯肉を押すと膿が出たりといった症状が現れます。

こうなってしまうと、インプラントを撤去するしかありません。

 

今回は、このインプラント周囲炎に罹患したインプラントを撤去して、新しいインプラントを再埋入することになりました。

術後のレントゲン写真です

埋入時には、残存した健康な骨を探し、そこに埋入しています。インプラントは全周にわたり骨に囲われていないといけないため、不足している部分には骨造成術であるGBR法を同時に行い、骨のボリュームを回復させています。

今回のGBRで足した骨の量ですが、1歯としては中程度の量でした。人工骨の量が中程度以上になると、インプラントと骨が結合し、周囲の骨が安定するために待つ期間が長くなります。

 

今回は5カ月ほど待機してから上部構造と言われる、インプラントに接続する歯を作製しました。

当院では最初は仮歯を装着して、多くのことを確かめます。

・食事がとれるか

・おしゃべりに支障はないか

・審美性は問題ないか

・頬や舌を噛まないか

・清掃性はいいか

・顎関節に影響は出ていないか

などです。

今回は、噛むと違和感があるとのことで、インプラントと骨との結合を測定する装置で検査してみると、骨との結合がやや弱いことが分かりました。

インプラントと骨の結合は、機械で測ることができるようになってきています。ISQ測定器、もしくはペリオテストという機器を用いて測定します。

骨との結合が弱い場合は、仮歯を外してインプラントに負荷をかけない状態で1ヶ月様子を見ます。

今回は、1ヶ月後、再測定すると良好な数値が出ましたので、再び仮歯にし、問題ないことを確認した後、最終的な上部構造を作製しました。

最終上部構造セット後の口腔内写真と、レントゲン画像です。

インプラントが周囲の組織となじみ、調和が取れているのが分かります。

患者様も、再び噛めるようになりご満足いただけております。

こうしたインプラント周囲炎のリカバリー治療は容易ではなく、医療者側の技術的レベルが要求されます。

小林デンタルクリニックでは、可能な限り患者様の『噛める』を追求した治療を心がけております。

お口の中のことでお困りの方、インプラント治療に興味のある方は、一度カウンセリングを受けていただくことをお勧めしています。

ドクター、スタッフ共々、誠心誠意治療にあたらせていただいております。

 

ここからは余談ですが、当院でメインで使用しているインプラントはストローマン社のものです。

今回、インプラント周囲炎になってしまったインプラントはN社のものでした。そして反対に埋入されていたのはストローマン社のものであり、長年に渡り問題なく機能しておりました。

他社のインプラントを批判する意図はありませんが、同一の人物で違うメーカーのインプラントが入っており、ストローマン社のものは問題なく、他社のものはインプラント周囲炎になってしまった。もちろん様々な要因を考慮しなければなりませんが、こうした症例を目の当たりにすると、我々が用いているストローマン社のものに、さらなる信頼を抱いております。

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